鶏肉におけるカンピロバクタ一のリスク低減のための衛生管理対策と課題

摘要

カンピロバクタ一は人の主要な食水系感染症の起因菌 として世界各国で重要視され.多くの先進諸国において カンピロバクタ一食中毒は増加傾向にある.食中毒を起 こすカンピロバクタ一は，家畜や家禽などの消化管に生 息し，ヒトへは菌に汚染された食品や飲料水を介して感染するほか.保菌動物との接触により感染する26).こ れまでの疫学調査から感染源として特に注意が必要な食 品は，鶏肉とその関連調理食品である6).特に，国民の 食生活様式の変化に伴って，食鳥肉の生食が一般的に広 く普及していることが本食中毒の増加要因となってい る.この様な状況に対し厚生労働省は危機感を強めており，2018年3月に「カンピロバクタ一食中毒事案に対す る告発について」の課長通知（薬生食監発0329第5号， 平成30年3月29日）が発出され.加熱用鶏肉を故意に 生食用として提供し.カンピロバクタ一食中毒を繰り返 し，あるいは広域的に発生させた食品事業者に対しては 処罰の可能性も示唆している.