宮奥池と矢延平六翁

摘要

香川県は，気候温暖で風光明媚，災害も少なく大変恵まれた土地柄であるが，典型的な瀬戸内海気候に属しているため降雨が少なく加えて地形が南北に狭いため，河川は急勾配の天井川となっている．このため，苦から水資源に恵まれず，用水の確保には多大な苦労を重ねてきた．この水不足を象徴するものとして，遠く平安の昔，この国の国司は「晴天五日を経れば，水湿の潤い無く……」と嘆き，また，江戸時代の藩主も「さぬきの国は，常水の川一つも無く」と，水資源の乏しさに心傷めた逸話もある．