環境保全型水田農業の新しい動き

摘要

昨年、12月25日に発表された「農林水産環境政策の基本方針－環境保全を重視する農林水産業への移行－」では、地球温暖化、廃棄物問題、生物多様性の危機などの今日の環境問題は、通常の事業活動や国民の日常生活に起因するものであり、多様なライフスタイルや様々な地域特性に対応した持続可能な社会への転換を図る必要性を述べている。そして、安全，安心な農水産物の生産のためには、良好な生産環境が必要で、生産環境の保全と食の安全，安心は相互に関係するので、農林漁業者と消費者が意見と情報の交換により信頼関係を深める必要性を強調した（このような事例は、後で紹介する滋賀県の生産組織に見られる）。 この上で、農山漁村は、ゆとりとやすらぎのある地域を形成する場所であり、都市と農山漁村との双方向化は、都市と農山漁村との共生、自然と人間との共生を通じて、国民全体のライフスタイルの転換に寄与し、今後の日本の経済社会の発展基盤を形成するという考えを示し、農林水産省が支援する農林水産業は環境保全を重視するものに移行すると述べた。