土壌水分動態を考慮した消費水量の推定方法の熱帯転換畑への適用－フィリピンの転換畑における作物水分消費の研究（ⅠⅠⅠ）－

摘要

土壌水分動態を考慮して消費水量を決走する方法の熱帯転換畑への適用性を示すことを目的として，16作物の消費水量を算定した．従来法では土壌水分減少量をもとに有効土層を決定したが，本報ではトタルポテンシャル勾配をもとに土壌水分の移動方向を判定し，その上下方向の境界面であるゼロ、フラックス面（ZFP）を有効土層の下端とした．ZFPにより決定した有効土層を用いて，圃場容水量から生長阻害水分点までの期間の消費水量を算定し，従来法により算定した消費水量と比較した．その結果，データの活用率が高くなること，および消費水量に含まれる重力排水量を減らす効果があることがわかった．また，算定した消費水量を既存のデータと比較して，信びょう性の高いことを検証した．