ミナミキイロアザミウマの生態と防除に関する研究 －第58回農業技術功労者表彰受賞記－

摘要

ミナミキイロアザミウマは東南アジアから侵入した害虫で，1978年に宮崎県の施設栽培ピーマンで発生が始まり瞬く間に九州，四国に拡大しました。 1980年には静岡県でも発生が確認され，温室メロンを初め，施設栽培の果菜類や花を主体に大きな被害をもたらしましたが，以降発生は継続して難防除害虫となっています。 また，本種はスイカ，メロン，キュウリに大きな被害を与えるウイルス病も伝搬するなど非常に恐ろしい害虫であり，現在もなお西南暖地では施設栽培作物の重要害虫となっています。 私は，発生初期から本種の防除対策，その後に温室メロンで発生したメロン黄化えそ病の防除対策に従事してきましたが，これら成果を評価していただき今回の受賞となりました。 この賞の重みはかねがね理解しているところですので，今後微力ではありますが病害虫防除の研究，防除技術開発の一端に協力させていただければ幸いです。 ご推薦をして頂きました多くの関係者の方々，また，これまでともに研究をしてきました，先輩，同僚，後輩の諸氏，現地試験や防除対策で多大な御協力を頂いた普及センター，病害虫防除所，温室組合の職員には厚く御礼を申し上げます。 ここでは，新害虫のミナミキイロアザミウマのもたらした問題と，それに対応した成果を述べることにします。