物理指標によるアユ産卵環境の評価と変動予測手法の構築

摘要

ダムからの一時的な大放流（人工洪水）は，河床に堆積した細粒分を押し流し，魚類の産卵環境を改善させる効果があることが確認されている。 しかし，放流に使用することができる限られた水量を有効に活用するためには，どの程度の放流量でどのくらいの時間持続して放流すれば産卵環境の改善に効果的であるか，事前に予測することが重要となる。 ここでは，本研究で提案したアユ産卵環境の評価モデルを非一様粒径に対応した河床変動の数値解析手法と組み合わせることにより，流況変動時のアユ産卵環境の変動予測に応用した解析例を示す。具体的には，河床表層に細砂が溜まった河川区間において，一時的な大放流をイメージした4つのケースの流況変動が発生することを想定し，それらの細砂掃出によるアユ産卵環境の改善効果について予測を行った。