南米諸国の大豊作とアメリカ産穀物の輸出見通し

摘要

日本の「茶摘み歌」では、夏も近づく八十八夜になると野山に新緑が繁茂する頃になるが、農家には「八十八夜の別れ霜」の言葉で、5月初旬の遅霜に注意が喚起されている。アメリカ産冬小麦の主産地であるカンザス州では、温暖乾燥型の気候が続いていたが、4月に入り天気が低温多雨型に変化した。平年よりやや早目に出穂がはじまつた矢先の4月末に、季節外れの寒気が大平原南部にも広まり、カンザス州西側では真冬並みの猛吹雪に見舞われお，もの積雪が観測された。長時間に及ぶ寒気の滞留や重い雪による茎折れによる被害が懸念されて、シカゴの小麦定期は久しく忘れられていた天候リスクの存在を思い出して急伸となつた。かっての需給環境であれば、冬小麦の主産地での悪天候の報道は、需給の先行き不安感を煽り、実需のへッジ買や投機筋の思惑買に発展するところであった。