農業者戸別所得補償制度の本格実施にみる民主党農政の特徴

摘要

「戸別所得補償制度」がいよいよ「本格的」に実施される。「モデル対策」から何を学び、どこが進展し、どこが退化したのかえこの政策から浮かび上がってくる民主党農政の見通し、そしてそに描かれている日本農業像は正しい方向にむいているのだろうか。本格実施の「本格」の意味を正確に認識するために、はじめに、先行する水田..畑作経営所得安定対策(以下、「所得安定対策」)、戸別所得補償モデル対策(以下、「モデル対策」)との比較におい、て、農業者戸別所得補償制度(以下、「所得補償制度」)によって新たに拡充された部分は何かについて確認しておきたい。第一に、「所得補償制度」が対象とした作物という観点である。この点に関しては、「所得安定対策」(生産条件不利補正対策、収入減少影響緩和対策)の対象から外れてい-たソバ、ナタネが新たに所得補償の対象作物として付加された点がまずあげられる。