稲の生長を支える根〔16〕 -地上部の生長の良否は根のそれによつて規定される (その8)稲の，根の生理（続き）

摘要

このことについて主として津野ら（1995)や山口 ら（1995a)らの，根の呼吸作用，吸水能力に関し た研究をみる.なお津野とその共同研究者は，稲の 生産現場で起こる生理的現象についての光合成作 用からの解明とその解決法について一連の研究を 行った.それらには気温の日変化の範囲内で起こる 高温（40°C程度）低下現象（津野、山口1987),弱 光条件（長期間の曇天や山合いの稲などを想定）下 の稲（津野、山口1989),低夜温（生育初期や登熟 期末期の稲を想定）による影響（津野ら1989)な どがあり，それらをとおして稲の光合成の実態の把 握，その際の根の呼吸作用や吸水能力，就中積極的 (能動的）吸水能力の重要性などを指摘している.