稲の生長を支える根〔9〕 —地上部の生長の良否は根のそれによつて規定される一 (その5)稲の水分生理.葉の水分状態〔水ポテンシャル（！など〕と 気孔開度、光合成速度との関連において

摘要

水は稲が生命活動を営む上で最も基本的で不可 欠の物質であるが，その含有量は短時間内に，かつ 稲の多くの外的、内的要因によって変化する.その ため，光合成を初めとする多くの生理が葉の水分状 態によって著しく影響される.その水は，日中の飽 差や蒸散速度の増加または根の生理的活性'吸水能 力の低下などによつて不足気味になることが多く， 稲の生理上最も重要な物質の1つである.しかし窒 素含有量のように簡単に葉の水分含有量を制御す ることはできず，その制御には長期的な視野で望む 必要がある.そのためには，葉の水分含有量に関係する稲の外的、内的要因，およびそれらと水分生理 との関係についての知見が不可欠である.なお本稿 は水分生理全般を考察することが目的ではないの で，光合成、乾物生産との関わりで述べる.'秋田県立大学名誉教授(Chojt Kawashima) "秋田県立大学生物资源科学部（Atsushi Ogawa)