一次産業を，かっこよくて'感動があって'稼げる3K産業に -農家のこせがれネットワ一クの構築で二ツボンの農業を元気に-

摘要

「湘南」として有名な神奈川県藤沢市で養豚業を営む株式会社みやじ豚は飼養頭数700 頭あまりで，年間出荷頭数が約1,300頭とい う吹けば飛ぶような零細養豚農家だ。実家で生産していた豚がどう流通して誰が 食べているのかがわからないことに気づいた のは私が大学生の時だった。当時，親父の後 を継ぐ気は全くなく，もっとかっこいい業界 で起業しようと考えていた。大学を卒業して 人材派遣会社に就職した私は，出勤前に毎朝 早く起きて起業のための勉強を始めた。その 中で，農業の本を読む機会があり農業の問題 点に気づいていく。問題点は大きく 二つ。一 つは，一般的に農産物の価格は相場と規格で 決められ農家に価格の決定権がないこと。顧 客が重要視する味や品質が二の次にされてい ることに供給側のズレを感じた。そしてもう 一つは，生産者の名前が消されて流通するこ と'。養豚業界では顕著だが，生産者の名前が 消されて流通するので，顧客から「おいしかつ た」という声が届かない。