農業会計学に於ける環齢計の導入に関する一考察

摘要

農業会計学は，その対象である農業経営の独自性等の事由により，企業会計学に比して多岐な発展形態を成し遂げてこなかったといえる．それは，その帳簿の簿記記帳様式一単式か複式か一が問題とされ，あるいは農業経営の会計主体の把握等に重きを置き，企業会計学が辿ってきた社会責任会計といったベクトルには向かっておらず，その側面では停滞状態にあるとも言えるのが現状であろう．つまり「経営のための農家の農業会計」といった収益分析の側面は往々にして論及されてきたが，「社会」と「農業会計」を対略する社会性分析の視点からの思索はあまり成されなかったといえよう．