農村多角化活動における事業継承の課題と今後の展望

摘要

農村女性による起業活動件数は全国的にみて増加 傾向にあり，山口県における活動組織数も増加している1).活動に伴う経済規模は，「300万円未満」の組 織が60%程度を占める一方，「1000万円以上」の組織 も15.5%にのぼる（全国値：H20).事業内容は，食 品の製造及び販売のほか，近年は交流活動への取組み も盛hに行われ，中には，20年以上にわたり経営を 続ける組織も現れるなど，継続的な多角化の取組み は，農村地域の活性化に寄与するものと考えられる. しかし，その一方で，事業から撤退し経営を断念 する事業体も存在する.その理由は，活動内容が類 似した組織間の競合，高齢に伴うリーダー及び構成 員の離脱などが挙げられる.農村地域における機能 集団としての色合いが強い多角化組織の取組みは，同時に閉鎖的な側面を持つ傾向があり，計画的な世 代交代が進まなければ各構成員が蓄積してきた技 術、 ノウハウの継承だけでなく，経済拠点としての 機能の喪失に繋がる.