地域農業の「組織化」と地域農政の課題

摘要

本稿では，「日本の特徴である地域農業の組織性を意識的に再建、創造、活用しようとする地域の対応」と定義される「地域農業の『組織化』」にかかわる日本の戦後農政の対応と変遷，そしてその論理や背景を解明することを課題としている．このような課題設定が可能であるように，日本の農政は「地域農業の『組織化』とは無縁な存在ではなかった. 特に，1970年代末から80年代末までのいわゆる「地域農政期」は，そうした農政が花開いた時期であった. しかし，逆に，現局面において，このような課題設定あえてせざるをえないほど，その後の変遷は著しいものがある．