食料自給率の目標策定に対する期待と懸念

摘要

食料、農業、農村基本問題調査会答申では不明確であった食料自給率の具体的な目標値を策定することが、農政改革大綱の中に明記された。 この目標値は従来の　 感枰壬bの長期見通し」と比べて、二つの異なる意義を持っている。 第一に食料安全保障への配慮を前提にした数値となりでいること、弟こに食生括の見直しを政策目標に組み入れていることである。 かつての長期見通しも単なる予測ではなく実際には一種の政策目標値だったことは言うまでもないが、それは主に生産政策のためにあった。 一方、今回の食料自給率の提示は、これまで曖昧にされていた食料政策に関する政策意思を明確にしているという点で新しい。 策定される食料自給率の目標は、生産、消費両サイドからの自給率向上に向けた取組みを前捉にして、努力喚起および政策推進の指針だと位置付けている。 二一世紀の世界の食料供給が必ずしも順調にはいかないかも知れないという恐れがある限り、食料の確保に対して政府が慎重な姿勢で臨hでいくことは正しい。