集落放牧による農林地資源の保全とコミュニティーの展開

摘要

中山間地域では耕作放棄地の増加など農林地資源の利用低下とその荒廃化が進行している。 放棄されススキやクズに覆い尽くされた荒廃地は、カメムシやイノシシなど病害虫や野生動物の温床となり、農家の庭先や家庭菜園にまで被害が及ぶなど営農と居住環境の低下が深刻な問題となりつつある。 こうした状況の中で、和牛繁殖経営による遊休農林地の放牧利用が普及し、飼料自給率の高い資源循環型の畜産が展開しっつある。 また、中山間地域を広く抱える中国地域では、既存の畜産農家にとどまらず、営農集団や集落、果樹生産細織、林家からも、荒廃地の解消と野生動物の活動抑制、農林地資源の保全、下草管理などの手法として、家畜を導入し放牧に取り艇む事例が現れている。 すなわち、中山間地域の農林地資源の新たな保全,活用方法として、草食家畜を括用した生態的管理の取り殻みが広がりつつある。