韓国における住民参加型の農村計画の実践と課題一農村マウル総合開発事業を事例として一

摘要

韓国の農村地域は1960年代の経済発展推進による離 村向都現象で農村経済人口の減少，高齢化が進行され， これによつて生産性の低下と所得減少などの悪循環が持 続されている。このような問題を解決するため.政府主 導の多様な農村開発事業が進行中であり，農村地域の所 得向上，住民要求受容に及ぼす幅広い部門に持続的な投 資が行われている。しかし，このような事業を進行する 過程でトップダウン開発方式が台頭され，地域住民の意 見よりハードウユア中心の事業進行，事業後の管理監督 の不足，参加主体間の協力と連携不足などの問題点が指摘されている。その中で，2000年を前後に新たな農村 開発政策が登場することになる。その政策の共通点とし て'"'，①事業推進の空間的な範囲を一番基礎的な共同 体であるマウル（日本の集落に該当する）を単位として いること。②事業目標が物理的な現代化より，生活重視，農外所得増大が強調されるようになつたこと。③補助事 業の採択，推進方式が公募となり対象地選定の推進方式 の変化したこと。(4)住民参加が強調されていることを挙 げることができる。すなわち.政府及び自治体主導の トップダウン開発方式から住民参加を中心にするボトム アップ開発方式に変化しているのである。このように変 化された開発方式の代表的な事例が2004年度から施行 された農村マゥル総合開発事業である。農村マゥル総合 開発事業には41,以下のような特徴がある。①住民参加 を促進させる中心的な事業であること。②過去の郡単位， 面単位，マウル単位ではなく，同じ生活圏'営農圏など， 同質性を持つた住民間の連帯感を持つ近隣3(4)5ケ所の マウルで構成された小圈域を単位としていること。③農 村の多面的機能を総合的で体系的に整備、開発するもの であること。(4)最大70億ウォンの事業費が投入される 事業であり，農村地域に及ぼす影響は大きいこと。⑤特に地域の特性によって，農村マウル景観改善，所得基盤 拡充及び基礎生活環境整備施設支援などのハードウエア 事業とともに住民力量強化などソフトウェア関連事業を 同時に進められていること。(1)農村マウル総合開発事業 の結果としては農家の経済所得増加.落後施設（過疎対策施設）の改善など肯定的な効果をもたらしていること。 上記の利点が指摘される一方で，問題点として，農村マ ウル総合開発事業は幾つかのマウルを一つの圏域として 事業が推進されているために.マウル住民間のコミュニ ティーと協力が必要であるが事業に対する理解及び経験 不足などによって問題が発生している。