都市農業経営の多角化の採用要因と経営成果 一東京都の農業経営を対象としたアンケートをもとに一

摘要

この度，2017年度農村計画学会べストペーパー賞受 賞の栄誉を賜り，望外の受賞に驚嘆すると同時に，光栄 に感じております。拙稿を評価して頂いたことを大きな 励みとし，さらなる研究活動に邁進していく所存です。さて，本論文の背景として，そもそも私は世界の食糧 問題や日本の食糧自給.大規模な農業経営による効率的 な食糧生産の促進といった農業経済,経営学分野では一 般的な課題に漠然とした興味を持って農学部へ進学しま した。そhな私が都市農業に興味を持ったきつカゝけは， 現在の指導教員である東京大学の八木洋憲准教授の東京 都練馬区における農家調査の補助の経験でした。そのと き初めて，都市住民に対して新鮮な農作物や農とのふれ あいを提供するという都市農業特有の存在価値に感銘を 受けたのを覚えています。こうした農業の在り方はそれまでの私の農業に対する固定観念を揺るがすのに十分な ものでした。しかし同時に，私は営農環境の悪化や農地 相続問題など都市農業経営の厳しい現実を知ることとな り，都市農業がその価値を発揮するためには，農家自身 の創意工夫による革新的なビジネスモデルの確立によつ て，農業経営の持続的発展を達成することが不可欠と考 えるようになりました。