改めて福島原発事故の影響と被害を考える一「経済的評価」の意義と限界一

摘要

東日本大震災（以下，大震災）と，これに連動して引 き起こされた東京電力福島第一原子力発電所事故(以下，福島原発事故）が発生してから，今年（2016年）3月で 丸5年の歳月が経過することになる。この大震災と福島 原発事故は，被災地域のみならず，日本社会全体に対し ても，かってなく深刻かつ複合的で広範な影響（Effects) と被害（Damages)化1)をもたらしている。以下では，このうち人為的災害というべき福島原発事 故に伴う影響と被害について改めて考え，とくにその「経 済的評価」の意義と限界について若干の考察を示してお きたい。