湧水環境改善に開わる行政の施策と市民組織に関する研究 —静岡県三島市を事例として一

摘要

近年，名水百選（1985年），水の郷百選（1995年），平 成の名水百選（2008年）に代表されるよう，湧水、地下 水の保全、改善や，それらを活かしたまちづくりに対す る関心が高まりつつある。また，親水空間，防災用水， 観光資源等，湧水、地下水の有する機能は多様でかつ重 要である。そのため，湧水環境を研究することは地域計 画等において一助となる。また，湧水環境改善に関わる 活動の研究により，その方法を確立する必要がある。研究対象地域である静岡県三島巿は古くから豊かな湧 水環境を誇り，「水の都」と呼ばれていた。市内各地の湧泉.せせらぎは住民の生活やレクリェーションの場と して機能していた。しかし，1962年に楽寿園小浜池が完 全に涸渴した。その後も都市化による地下浸透量の減少， 用水型工場の進出による工業用水使用量の増大，生活水 準の向上による生活用水使用量の増大といった原因で湧 水量の減少が続き，人々との関わり力希薄になった"。