異種外来遺伝子を含まないウマヘルペスウイルス1型（EHV－1）gE遺伝子欠損変異株の性状解析

摘要

現在わが国では、EHV－1による呼吸器疾患および流産を予防する目的で不活化ワクチンが使用されている。 しかし不活一化ワクチンには、抗体の持続期間が短い、細胞性免疫の誘導能が低いなどいくつかの欠点がある。そこで、総研栃木支所では、より効果的なワクチンの実用化を目指して、弱毒生ワクチンの開発に取り組hできた。 まず最初に、EHV－1の膜糖蛋白をコードする遺伝子、gIおよびgEについて、目的遺伝子領域に大腸菌遺伝子を挿入ずる方法を用いて、両遺伝子の欠損株およびgE遺伝子単独の欠損株を作製した（図1）。 これらの欠損株はいずれもウマに対する病原性を失っており、同遺伝子領域がウイルスの病原性に深く関与していることが推察された。 またgE単独欠損殊については、免疫原性の保持も確認され、この株が生ワクチンの候補株となり得ることが示された。 しかし、生ワクチンとして野外での実用化を図る際、このような異種外来遺伝子を含む変異ウイルスは、安全評価上問題とされる。 そこで、本年度われわれは、異種外来遺伝子を含むgE欠損株から、同道信子を除去することを試みた（図1）。 以下、作製した欠損ウイルスの性状解析について報告する。