子牛の化膿性髄膜脳炎

摘要

髄膜脳炎は脳と髄膜の炎症であり，意識障害や視力障害，歩様異常，遊泳運動，痙攣などの中枢神経症状を呈する。 牛の髄膜脳炎の原因としては，へモフィルス（HIstophilus somnus），リステリア，サルモネラ，牛ヘルペスウイルスなどが知られている。 子牛では大腸菌やグラム陽性球菌（Streptococcus bovis）の感染による化膿性髄膜脳炎が報告されており，ほとhどは予後不良となる。今回，黒毛和種の雌子牛で認められた化膿性髄膜脳炎の治験例を紹介する。 症例は，2006年4月28日生まれの3日齢，体重32kgの黒毛和種の雌子牛であり，2006年4月30日，中枢神経症状を呈して来院し，15日間の治療で治癒した（表－1）。