現代畜産に対する研究、教育機関としての大学のあり方と今後の方向性

摘要

社会の多様化に伴い獣医学が貢献する範囲も広くなり，教育も多くの内容を網羅するようになってきている。 したがって，獣医学を学ぶ学生にとって将来の活躍の場に関する選択肢は多いと考えられ，彼、彼女らは卒業までの年月にそれらをじっくり吟味することができる。 獣医師として畜産の発展に貢献する卒業生が社会に必要であることは今も昔も変わらないはずであるが，現場の最前線である臨床分野への進路を熱望する人数が近年減少傾向にあるように感じている。 その理由のひとつに，上述のような選択肢の増加が挙げられるが，もっと根深い重要な課題が横たわっている気がする。今回は，地方の国立大学法人の－一員として午を主体とした産業動物の臨床分野に関する教育、研究に携わっている立場から，わが国の畜産（主に午）に対して獣医学教育の場である大学のあり方と今後の方向性を考えるうえでの課題を述べてみたい。