我が国における防疫対策の課題：口蹄疫を例に: 守りの防疫から攻めの防疫

摘要

我々は2度の口蹄疫を経験した。特に，2010年のロ蹄疫 は，家畜の悪性伝染病を遙かに超えた社会災害を引き起こ した。それは経済的被害に留まらず，防疫従事者や畜産農 家を中心に精神的ダメージをもたらした。それらを過去の こととして片付けてはいけない。今もなお，国内のどこで， いつ口蹄疫が発生してもおかしくない状況なのだ。近隣諸 国では，口蹄疫が持続的に発生している。血清型0型だけ でなく A型も流行しており，その発生状況にも警戒が必要 である。直近では，約3年間ワクチン接種でコントロール してきた韓国がヮクチン接種ロ蹄疫清浄国となつた矢先， 養豚場で口蹄疫が発生した。それほど，口蹄疫が一旦蔓延 するとその制圧は困難なのである。