豚丹毒抗体検査法の比較検討と検査結果に基づく農家指導

摘要

豚丹毒は豚に急性敗血症，暮麻渗，慢性関節炎や心内膜 炎を起こし，死亡や枝肉廃棄による経済的損失が大きい疾病である。過去10年間の全国的な発生状況は，毎年 1,500-2,000頭前後であるが本県では，2008年に，そ れまで県内ではほとhど確認されていなかった敗血症型豚丹毒の発生があつた。このとき，県全体の発生頭数が増加 するとともに，発生農場においては，出荷直前の肥育豚の 死亡等により，大きな経済的損失を受けた（図—1)。厥丹毒の血清抗体検査法には，ラテックス凝集反応 (LA)，生菌凝集反応（GA)およびELISA法があり，我々 はそのなかでも，抗原が市販されており取り扱いが容易 なLAを利用してきた。2008年9月から10月にかけての 2週間で，繁殖豚130頭規模の一貫経営農場の繁殖豚5頭 力，豚丹毒の敗血症で死亡した事例があった。敗血症が発 生する4力月前と発生時のLAによる抗体検査成績を比較 したところ，発生の前後で群全体の抗体価に大きな変化は 認められなかった（図—2)。この農場では豚丹毒ワクチン は使用されていなかった力，発生前においても，発症の低 減を期待できる十分な抗体を保有していると考えられ， 敗血症死が発生する状況にあつたかどうか読み取ることが できなかった。