牛における播種性血管肉腫（症例報告)

摘要

9歳齢，乾乳期，空胎のブラウンス イス種乳牛が，2週間の食欲不振，虚 弱および体重減少の徴候により，ペン シルベニァ大学ニュ一ボルトンセンター病院フィールドサービス部門（米 国）の診察を受けた。牛はこれまでに 各種品評会で優秀な成績を獲得してい た。診察前に畜主は肺炎を疑って，ォ キシテトラサイクリン，スルフアジメ トキシン，フルニキシンメダルミンな どの投与を行ったが，改善はみられな かった。野外での最初の身体検査ではボディ コンディシヨンスコアの低下(2.5/5)， 軽度の頻脈（80回/分)，第一胃運動 減少（弱い運動が1回/分）であつ た。血液学的検査では，再生性貧血，血小板減少，リンパ球減少を伴う白血球減少がみられた。PCV21%，赤血 球数3.79xl06//xL，顕微鏡強拡大1 視野あたり1個の有核赤血球，血小板 数154xl03/pL,白血球数4，810/pL， リンパ球数2,200/ゆ，フィブリノゲ ン濃度3.85mg/dLが特徴的で，他の血 液検査値は正常範囲内であった。血清 生化学検査値は，y -ダルタミルトラ ンスフェラーゼ（GGT) 360IU/L,ァ スパラギン酸ァミノトランスフェラー ゼ（AST) 275IU/L,血清総タンパク 質濃度82g/Lが特徴的で，他の生化 学値は正常範囲内であった。