酸塩基平衡異常の診断と治療4－アルカリ化剤の種配その応用

摘要

代謝性アシドーシスの治療は，アルカリ化剤によるアシドーシスの補正よりもアシドーシスを引き起こしている原因に対する根本治療を優先させるべきである。例えば，脱水による細胞外液量の不足から代謝性アシドーシスを生じている動物に対しては，細胞外液補充剤などの輸液剤を用いて脱水の改善を優先的に行う。糖尿病性ケトアシドーシスの動物に対しては，血糖値のコントロールの改善を優先させるべきであり，ケトアシドーシスや乳酸アシドーシスなどの高AG血性代謝性アシドーシスでは高度の脱水や末梢循環不全に陥っている症例が多いことから，循環血襲量および尿量を確保するために病態に見合った量の体液補充を行う必要がある。また，呼吸不全による乳酸アシドーシスでは人工呼吸器による管理を含めた全身状態の改善を優先するべきである。