産業動物獣医師育成を目指して-曰本養豚獣医師協会の取り組み-

摘要

3月4日，笹川記念会館（東京都港区）において，日本 養豚獣医師協会（JASV)の衛生セミナーが開催された。 JASVは，平成16年に設立。養豚現場の疾病対策と衛生環 境の向上を目指して，さまざまな活動を行っており，その ひとつが、産業動物獣医師育成の取り組みである。この日 のセミナーにも，20名を超える獣医学科の学生たちが参加 し，JASV会員の獣医師らによる現場に則した養豚獣医療 に関する講演に耳を傾けた。とはいえ，現在、産業動物獣医師の確保は非常に厳しい ものとなっており，畜産関係者にとって大きな命題と言え る。獣医師の数自体は，平成10年度の3万人弱から平成18 年度には3万5,000人を超え，増加しているものの，産業 動物獣医師の数は，平成10年には5,000人だったのが平成 18年には4，500人を切るまでになつており，全体における 比率も17%から12%と大きく下回っている。また，一部の 家畜保健衛生所では定員割れを起こしているという現実も あり，事態は深刻である。