宮崎県NOSAI獣医師の将来に向けた一歩

摘要

FTA（自由貿易協定）の促進を背景とした輸入畜産物との価格競争，糞尿処理など環境対策への多額の設備投資など畜産農家を取りまく経営環境は非常に厳しい。 飼養規模を拡大し生産コストを削減することで何とか乗り切ろうとしてきたが，今度はバイオエタノールや中国の経済成長を要因とする飼料原料価格の高騰が追い討ちをかける。 さらに生産者の高齢化は確実に進み，小規模兼業農家は減少の一途をたどっている。 今の畜産には，こうしたマイナスイメージばかりが付いてまわることから，産業動物獣医師を志す学生はなかなか増えない。 そして，畜産の未来に不安を抱くのは，何も将来の進路を決めかねている学生だけではない。 むしろ，今臨床の現場で日々の診療業務に追われるNOSAI獣医師こそが畜産の現実に向き合う中で漠然とした不安を抱えているのかもしれない。 しかし，今，将来への展望を措くことができるのも我々自身である。 憂えるだけでは何も変わらない。