ルーメン環境の変化と牛の病態－特に濃厚飼料給与の場合－

摘要

反芻家畜は，非反芻家畜が利用できない飼料成分を，ある栄養成分の源として利用することができる有利件を持っており，人や豚あるいは家禽などの家畜との間で食料（飼料）を競合しないで生きてゆける極めて有利な面を持っている。 その有利性はルーメン機能に依存してるといっても過言ではない。 ルーメンは反芻家畜が持つ巨大な発酵タンクであり，そこには細菌，原生動物（プロトゾア）を主体とした多種類の微生物が生息し，相互関連を持った複雑な生態系を構築している。 反芻家畜は，これらルーメン内の微生物による発酵と唾液分泌，胃運動などルーメンをめぐる各生理機能の調和によりその恒常件を保ちながら，生体の維持，成長，乳肉などの生産を営hでいる。しかし，ひとたびその共生関係が崩れ，恒常性が破綻するような状況になると，生産性の低下ばかりでなく，家畜にとっては重大な障害が引き起こされることになる。