木酢酸を含む溶液を用いた牛乳頭腫症治療の効果

摘要

牛において，外科的切除が困難な乳頭の小さな乳頭腫に対する効果的な治療法を構築するため，木酢酸を含む溶液の噴霧による治療効果について検討した。木酢酸，酢酸，10%ポビドンヨードを等量配合した溶液（治療液）を2週間隔で乳頭の乳頭腫に噴霧したところ，61.0%(36/59)が4週以内に治癒し，慣行法の20.0%(4/20)と比較して治癒率が向上した（p<0.05)о治療液を噴霧した乳頭腫の病理組織学的検査では，表皮組織の角化が亢進しており，治療液は乳頭腫ウイルスが感染した腫瘍細胞の角化を促すことにより治癒を促進していることが示唆された:eそのため，治療液は切除が困難な乳頭の小さな乳頭腫に対して有効であると考えられた。