5力月齢の黒毛和種雌牛にみられた 肝コクシジゥ厶症

摘要

群馬県内の一農場で，5力月齢の黒毛和種雌牛が発育不良と呼吸器徴候を呈し死亡した。病理組織 学的に，肝臓の小葉間胆管は多数の変性した好中球と細胞退廃物で高度に拡張し，小葉間結合織は胆 管の増生やリンパ球浸潤がみられた。小葉間胆管の粘膜上皮細胞質内にコクシジゥムの無性生殖世代 であるメロントがみられた。メロントは平均9.8x6.5mum(n = 38)で4-13個のメロゾィトを入れ，メ ロゾイトは，長さ6.0-8.6mum,幅0.6-1.3mumであった。以上の所見から，本症例を牛の肝コクシジ ゥム症と診断し，発育不良は肝コクシジゥム症によるものと推察した。