乳牛における周産期疾病の発生と乾乳前期の飼料成分および betaヒドロキシ酪酷農度に関する一考察

摘要

乾乳前後の飼養管理が周産期疾病の発生および血液性状に及ぼす影響について調査する目的で，管内酪農家9戸の過去4年間の疾病発生状況と給与飼料の関係，また周産期疾病の発生とBCS,体重お よび血液性状との関係について調査した。周産期疾病発生率の高い農家で，乾乳前期における給与 飼料中のデンプン濃度が高く， NDF濃度が低い傾向があった。また，疾病発生牛は泌乳末期の glucose (Glu)濃度と，乾乳前期のbetaヒドロキシ酪酸（以下BHB)濃度が高かったことから，乾乳前期 の給与飼料中の過剰なデンプンがエネルギー代謝障害を助長していると推測された。泌乳末期の高 Gluと乾乳前期の高BHBは産後の疾病を予測する有用な指標となることが示唆された。