養豚場における薬剤耐性化の要因抗生剤使用方法の改善策一豚胸膜肺炎原因菌Actinobacillus pleuropneumoniae2型について－

摘要

豚胸膜肺炎原因菌Actinobacillus pleuropneumoniae（APP）血清型2型の薬剤耐性化を防止することを目的に，養豚場における抗生剤使用状況とAPP2型の薬剤感受性の関係について検討した。宮崎県内の養豚場12戸で使用された抗生剤の使用量を，投与経路別および薬剤系統別に集計した結果，テトラサイクリン系薬剤を飼料添加により投与するケースが最も多いことが明らかとなった。また，テトラサイクリン系薬剤の使用量が大きく増加した農場では薬剤感受性が低下し，逆に同薬剤使用量が減少した農場では薬剤感受性の回復が認められた。薬剤耐性化の進展を防止するためには，抗生剤の全体投与を禁止し，発症豚房別の投与または病豚の隔離投与を行うこと，またテトラサイクリン系薬剤は長期使用を避けて必要に応じて短期投与を行うことが，いずれも原則として重要であると判断された。