マイコプラズマ性乳房炎診断における アコレプラズマの判別とその重要性

摘要

牛マイコプラズマ性乳房炎は伝染性乳房炎に分類 され，近年，国内および国外における発生率は増加 傾向を示している。有効な治療技術が十分に確立さ れておらず，国内外において淘汰対象とされる事例 も多く報告されている。現在，マイコプラズマ性乳 房炎の診断には培養法が広く用いられており，特徴 的な目玉焼き状コロニーの肉眼的観察および生化学検査の結果をもってマイコプラズマ(Mycoplasma spp.)と判断される。一方，アコレフラズマ(Acholeplasma laidlawii ； A. laidlawii)はマイコプラズマと同様にMolliutesに 分類される微生物の一種であり，培養されるコロニ 一性状は肉眼的に相同性が高い。ゥシでは鼻腔，気 管，結膜，陰茎包皮，膣粘膜等（いずれも正常組織） からアコレプラズマが分離されるものの，いずれも非病原性であることが確認されている。本稿では， マイコプラズマとアコレプラズマを識別することの臨床学的意義とその方法についてご紹介したい。