プロバイオテイクスの健康機能を媒介する循環血中のェクソソーム腸內細菌叢と宿主の新たなクロス卜ークシステムか？

摘要

プロバイオテイクスは，「十分な量を投与すれば宿主 の健康に利益をもたらす生きた微生物」(1)であり，便通 改善，感染予防，アレルギー症状改善などの効果に加 え，肥満ゃメ夕ボリックシンドロームの予防,改善の効 果も期待されている力、その作用機序については不明な部分が多い.摂取したプロバイオティクスは宿主にとつ て体外である消化管腔内を通過するので，ある効果は体 外において発揮されるかもしれないし，またある効果は 何らかのシグナルが体外から体内に伝達されることに よって発揮されるかもしれない.筆者らは後者について 細胞外小胞の一種であるェクソソ一ムがかかわっている のではないかと予想し，研究を行っている.ェクソソー ムは，脂質二重膜を有する細胞外小胞で，さまざまな細 胞が放出する一方で，さまざまな細胞がエンドサイトー シスによってそれを受容する12).ェクソソームはタンパク質，メッセンジャーRNA,マイクロ RNAなどを内包 しているので，これらをカーゴとして細胞間コミュ二 ケ一ションに役割を担っているのではないかと考えられ ている.つまり筆者らは，消化管に存在するいずれかの 細胞がプロバイオティクスの何らかの情報を認識してェ クソソームを体液中に放出し，それらが宿主体内のさま ざまな組織の受容細胞における機能に影響する結果，健 康機能が発揮されるのではないかと予想している.