東日本大震災への大学の対应-3研究室(有机化学系）の被灾状況と対策

摘要

「お一い，地震だぞ！……ちょっと今回は大きいなあ……まずいつ」激しい揺れが襲ったのは，3月11日の午後のことでし た.これはただ事ではない，ただ事ではない現実なh だ，そhな風に自分に言い聞かせる間もなく，必死に暴 れ回る機械や試薬棚を順番に繰り返し押さえるのが精一 杯でした.実験室にいた私（教員）と大学院生の二人カ哦に返つ たのは，長く長く感じた本震（仙台では3分以上だった ようです）が収まった後でした.なぜ終わらないhだ， 早く収まれと念じながら必死に動き回り，なhとか機械 類や試薬棚を守ることができました.そのかわり，気が つくと東向きの書棚という書棚はひっくり返り，すべて が水と油，有機溶媒まみれになっていました.実験台上 にあった反応装置やフラスコ，試薬瓶もほとhど倒れ， 落下し，こなごなに壊れました（写真1).幸い火が出 ることはなかったので，そのまま大学院生達と片付けを 始めました.開け放った窓の外から「お一い，避難しな くていいのか？」と声がかかったのはおよそ20分後， そうです，皆逃げることなど全然頭になかったのです.今回，あれほどの大地震にもかかわらず，当研究室の 被害は比較的軽いものでした.その理由を挙げてみま す.