有毒二次代謝産物を貯蔵する生物の謎クロイソカイメン由来の新規オカタ酸結合タンパク票の発見

摘要

1980年代初頭より，海洋や陸上の生物から複雑な構造をもち特異な生理活性を示す有機化食物（天然有機分子）が単離構造決定された．その中には，生理活性の本質が解明されで医薬品開発における鍵化合物となり，その誘導体が治療薬として臨床で使用されているものもある．こうした天然有機分子の多くが二次代謝産物であり，生物が必要とするアミノ酸やタンパク質などの一次代謝産物と異なり，自然界における役割についてはほとhど明らかにされていない．たとえば，①なぜ，天然有機分子がある特定の生物によって生産または貯蔵されるのか，②天然有機分子は生産または貯蔵する生物に対して毒性を発現するのか，など不明な点が多い．筆者らは，研究材料としてクロイソカイメンを選hで生物有機化学研究を展開し，②に対する答えの鍵となるタンパク質を同定した．以下，その経緯とタンパク質の性状について紹介する．