鉢花のマット給水栽培にお訝る頭上かh水がPythium病害の発病に及ぼす影響

摘要

近年，鉢花の生産は大規模化が進み，かh水作業の省力化のためEbb＆Flow方式，マット給水方式およびヒモ給水方式などの底面給水方式が広く導入されている。中でも，マット給水方式は低コストでで汎用性が高く，岐阜県の鉢花生産施設では，C鋼に溜めた水を上部のマットへヒモで給水するタイプ（本稿ではこれをマット給水方式とよぶこととする）が普及している。 Ebb＆Flow方式は，栽培ベンチに一時的に湛水することによって一度に多数の鉢に水を供給できるが，乃励血刑属菌や物神九肋β和属菌による被害が一般的に大きくなりやすい2，3）。 それと比較して，マット給水方式は湛水状態にはならないことから被害が大きくなることは少ないと考えられる。 しかしながら，実際には現地栽培施設で被害が多発するケースは珍しくない4，5）。 その要因として，種苗や培土および原水からの病原菌の持ち込みが考えられるが，マットを介した病原菌の挙動については不明な点が多い。また，現地ではマット上に鉢あるいはセルトレイを配置してしばらくの期間は頭上かh水を併用する場合があり，この頭上かh水が発病の助長に関与している可能性が考えられる。 そこで，本研究ではこれらの点について検討したので報告する。