繁殖和牛牧場における牛複合呼吸器病（BRDC)の発生と対策

摘要

今回の研究目的は、牛の複合呼吸器病（BRDC)蔓延による病原体の常在化が考えられる繁殖和牛牧場で、 購入ホルスタイン種子牛および黒毛和種繁殖子牛への感染を防除することである。予防対策として、家畜市場 からのホルスタイン種子牛の購入条件は生後1-2週齢から7-8力月齢への変更、黒毛和種牛の早期母子分 離、飼育スペースの区分、「子牛ノート」の記入、経過措置として抗生物質製剤の予防的投与などを行った。そ の結果、1年後にはBRDCに起因する平均診療回数力8.3回から5.8回、死亡頭数は27頭/年から4頭/年、また 支払死廃共済金も2， 658，167円/年から298， 264円/年まで減少するなどの改善効果が得られた。BRDCはひとた び牧場に蔓延すると、重症化は防げても、防除するには長期間を要することから、持ち込まない、拡大させな い、発症させないとする感染症予防の基本原則を確行すべきである。