カテコールアミン関連酵素とテトラヒドロビォプテリン： パーキンソン病の病態機構との関連

摘要

カテコールアミン（catecholamine, CA)はカテコール核 を持つ生理活性ァミン：ドーパミン（dopamine, DA), ノリレ,トレナリノ (noradrenaline, NA ； noreoinephnne, NE ノ ， /トレナリノ ^adrenaline, AD ； epinephrine, tN) の総称名である.ADは1900年に米国でTakamine, Abel, Aldrichにより副腎髄質ホルモンとして発見、結晶 化された最初のホルモンである.NAは1946年にU.S. von Eulerにより交感神経伝達伝物質であることが発見さ れた（1970年Nobel賞）.1960年までに，CAはin vivo でァミノ酸チロシンより，チロシン—dopamine (DA) —NA— ADの経路で生合成されることがNIHでSidney Udenfriendらにより立証され，CAの不活性化経路も Julius Axelrod, Irwin Kopinらにより確立されたが，当時 までDAはNA, AD合成の前駆物質と考えられていた. 1958年にArvid CarlssonはDAが脳内で特有な分布をし ており神経伝達物質であることを発見して（2000年 Nobel賞），その後1980年までにDA, NA, ADは脳内 CA ニューロンの神経伝達物質であることが解明された. 脳内DA, NAは，セロトニン、アセチルコリン.GABA 、ァ-ァミノ酪酸gamma-aminobutyric acid) グルタミン酸 ニューロンなどと神経回路網を形成して，運動，意欲， 報酬期待，感情，記憶などのヒトの高次の思考、情動-行動を制御する重要な神経伝達物質である.脳の中脳黒 質に細胞体が存在し線条体に分布する黒質線条体系DA 神経(A9 ニューロン）は，運動を調節する.中脳腹側被 蓋野（ventral tegmental area,VTA)に細胞体が存在して側 坐核(nucleus accumbens),刖頭刖皮質(prefrontal cortex) に分布する辺縁系DA神経系（A10 ニューロン）は， ヒトの意欲，情動，行動，ストレス応答に重要な役割を もつ.末梢交感神経の伝達物質NAと副腎髄質ホルモン ADは身体的、心理的ストレスにより交感神経分布臓器， 副腎髄質より血中に放出され全身臓器のァドレナリン受 容体を介して循環系，代謝系などの全身臓器の機能調節 に重要な変化を起こし，多くの疾患の病態に関係する.