非環式レチノィドによる肝発癌予防の臨床開発 ならびに基礎的作用メカニズムの解明

摘要

わが国における肝臓癌の年間死亡者数は約35,000に 上り, 日本人の悪性新生物による死因の第4位にある. 各種画像診断法や手術等の治療法が進歩し, 肝臓癌の 早期発見. 早期治療は既に困難ではないが, 治療後の 再発率が年間約10-20%と極めて高いことが予後不良 の原因である. これは肝臓癌に特有のフィールド発癌 (多中心性発癌)が原因であり, 発癌リスクの高まった フィールド(肝臓全体)における発癌抑止(発癌予防) 法の開発が臨床的に緊急の課題となっている.受賞 研究はビタミンA誘導体である非環式レチノィドを ツールとした, 肝臓発癌の予防に関する基礎メカニズ ムの解明と臨床効果の証明に関するものである.