鉄過剰症耐性水稲系統の根による耐性機構 －根から葉への鉄移動との関連－

摘要

鉄過剰症は熱帯地域において水稲の生育を阻害する土壌に起因する生育阻害要因のひとつである。IRRIでは鉄過剰に耐性をもつ品種を数多く開発しているがその生理的なメカニズムについては充分に明らかにされていない。 ここでは、IRRIで開発された鉄過剰耐性系統について、そのメカニズムを現地試験で解析した。 鉄過剰症が頻発する、フィリピン、バナイ島、Iloilo Cityの現地圃場（鉄過剰圃場）において、対照品種仕R64）、IRRI温室での溶液栽培によって鉄耐性を付与されたとされるIR64のNear-isogenic Lines（NILs：頭文字FTB）3系統、及びIloilo圃場で選抜した鉄耐性系統（Elite Lines：頭文体子Fe00）4系統を用いて、2003年雨期（WS）と2004年乾期（DS）に栽培試験を行った。 また、通常の条件として、鉄過剰症が見うれないIRR王国場（通常圃場）においても同様の試験を行った。