気候変動が果樹生産に及ぼす影響

摘要

近年, 世界的に生態系や農業, 食料生産に 大きな影響を及ぼしている要因として, 気候 変動や地球温暖化の問題があげられ, 世界の 人口が増加する中で, 食料生産の確保が危惧 されている。地球温暖化の原因については,IPCC (気候変動に関する政府間パネル)により人為起源温室効果ガスとほぼ断定されている。過去100年間で平均0.74°Cの気温上昇 がみられ, 21世紀末で1.1-6.4°C気温上昇が 予想されている(IPCC AR4 2007)。温暖化 と気候変動の関係は明確でないところもある が, 「地球温暖化」とは50年, 100年単位の長 期的な気温上昇をさし, 「気候変動」とは短 期的な気温, 降水量などの平年値との大きな 違い(隔たり)をさし, ほぼ毎年みられる集 中豪雨や2010年の高温などが該当する。温暖化や気候変動はわが国の農業や果樹生産にす でに影響を及ぼしており, 今後の産地の在り 方も含めて, 重要な課題となっており, 短期 的かつ中長期的に考えた適応策や品種開発が不可欠となっている。