台湾の経済発展と「官民二重構造」－劉進慶教授の研究業績を再読する

摘要

今回，古希記念論文集の「劉進慶教授略歴ならびに著作目録」［東京経済大学2003］に沿って教授の研究足跡をたどり，主要著作のいくつかを読み直していくうちに，劉理論によって表現される台湾モデルは時代の流れの中で大きく変化しているが，劉教授ご自身の学者としての立脚点にはどhな変化があったのか，ご自身の白には大きな矛盾はあったのか否かということを，改めて考えるようになった。このため，今になって劉教授のご意見をうかがいたいと思うことが，いくつも浮かhでくる。そこで，本稿では，劉教授の主要な業績から「官民二重構造」モデルの誕生と概略を振り返り，その後それがどのように変化したのかを追うことから，台湾出身の日本の経済学者劉進慶教授の思想に近づき，そして筆者の心に浮かぶ疑問をぶつけてみたいと考える。