カシヮマイマイ成虫の日周行動に関する知見

摘要

カシヮマイマイLymantria mathura Mooreは日本、朝魚羊 半島、シベリア南東部、中国大陸から台湾、インド、マレー 半島にかけて広く分布する。力シヮ、コナラ、クヌギ、クリ の他サクラ、リンゴ、ナシ等も加害する広食性の種で、年1 化で卵越冬する（井上、1982)。本種の卵は樹皮の隙間等に卵塊として産卵されることか ら、アメリカ及びカナダは越冬卵塊を介した本種の侵入を警 戒している（Pogue and Schaefer, 2007)。本種雌成虫はマイ マィガLymantria dispar (Linnaeus)と同様に夜間に飛翔する ことが知られている。ロシア極東部における紫外線ランプへ の誘引試験の結果では、誘引時間のピークは日没3時間後か ら5時間後と報告されている(Wallner etal, 1995).しかし、 日本における本種雌成虫の飛翔時間帯や飛翔距離に関する情 報は乏しい。これらの情報は、本種の防除を検討する上で重 要である。筆者らは日本産本種成虫の日周行動、特に雌成虫 の飛翔行動を観察し、飛翔時間帯、飛翔距離等の知見を得た ので報告する。