埋立地に発生するアブラムシ類

摘要

1．緑化後5年を経過した青海南埠頭公園及びその周辺（東京湾の埋立地13号地内）で，2001年3月から2002年3月までアブラムシの調査を行い，その結果から，調査地区のアブラムシ相の成り立ちについて考察した。2．調査地区内の植物に寄生が確認されたアブラムシの種数は9種9で，そのうち導入植物のみから51種，雑草のみから37種，導入植物と雑草と両方に寄生が確認されたアブラムシは10種であった。 3．少なくとも次の31種は，可能性の高低はあるものの導入された植物とともに入り込hだアブラムシと考えられた。 ①非移住型で完全生活環を営むマダラアブラムシ亜科11種，ケアプラムシ亜科2種，ケクダアブラムシ亜科5種，アブラムシ亜科4種，オオアブラムシ亜科3種，②移住型で完全生活環を営むヒラタアブラムシ亜科イスアブラムシ族6種。 このうち，イスアブラムシ族6種は，寄主植物に固着した生活型を有することから，導入植物とともに入り込hだ最右翼のアブラムシと考えられた。 4．Aphis craccivora, A. oenotherae をはじめとする数種の雑草寄生性のアブラムシは，水盤調査の結果から13号地内外の周辺緑地から飛来したものに由来するアブラムシと考えられた。 5．皇居などその他の緑化地域に生息するアブラムシの種数の比較を行ったところ，調査地区はこれらの地域と同等またはこれ以上の種数が確認された。 この結果は，埋立地にアブラムシが付着した植物が自由に導入されたこと，埋立土砂や導入植物の根回りに混入したと思われる各種雑草の繁茂が近隣から飛来する有翅アブラムシの定着を助長させたことによると考えられた。