隔離検疫でカンキツ苗木から検出したCitrus Viroid－I－LSS

摘要

平成13年2月にパキスタンからライム苗木（Citrus aurantiforia）5本が輸入された。 隔離検疫において，カンキツウイロイドの検定植物であるエトログシトロン系統アリゾナ861－S1による接ぎ木検定を行ったところ，葉脈の褐変，葉の下垂及び激しいエビナスティー症状が確認された（Fig．1）。 これにより，カンキツウイロイドの感染が疑われたため，RT－PCRによる各カンキツウイロイドの保毒検定を行ったところ，すべての個体からCitrus exocortis viroid, Citrus bent leaf viroid (CBLVd), Hop stunt viroid, Citrus viroid III及びCitrus viroid－I－LSS（CVd－I－LSS）と想定されるバンドが検出された。この中でCVd－I－LSSは，現在CBLVdの特別な変異株と考えられているウイロイドであり，日本以外での報告事例はない（ITO et al．，2002）。 そこで今回検出されたCVd-I－LSSの全塩基配列を決定し，既報のCVd－I-LSSと比較を行ったところ，本ウイロイドはCVd－I－LSSの新たな変異株であることが判明したので報告する。