総論：ポスト臭化メチル時代の土壌消毒法

摘要

臭化メチルは，土壌くh蒸剤として最も普通に使用されてきた薬剤である。 有効範囲が広い，処理が簡便，低温時にも有効，安価，強い除草効果をもつなどといった特質が，広く受け入れられてきた背景にある。しかし，1992年にオゾン層破壊に関連する物質の一つであるとモントリオール議定書第4回締約国会合が認定したことから，将来の全廃を目指した使用規制がスタートすることとなった。 第4回締約国会合では，先進諸国は消費量（ここでは，消費量＝生産量＋輸入量一輪出量とする）を当面1991年レベルで凍結することが決められ，97年の第7回締約国会合では先進諸国は2010年に特別の用途を除き全廃することを目指した段階的削減に入ることとし，開発途上国は02年以降1995～98年の平均消費量以下に抑えることとなった。 削減スケジュールは，1997年の第9回締約国会合で見直され，先進国の全廃期限の2005年への繰り上げと途上国での規制の強化が決められた。 現在は，日本ヤアメリカ，EU諸国などの先進各国では，国際的合意に基づく例外的措置以外の目的に臭化メチルを使用することは全面的に禁止されている。 例外措置として認められているものは，輸出入物品の検疫用に使用される検疫用途，予期せぬ病害虫の発生などに当たり，国の責任で使用する緊急用途（最大年間20t）および不可欠用途である。 また開発途上国では，1995～98年の平均消費量の80％以下にその消費量を抑えることとなっている。