ハダ二類防除における薬剤の付着向上の 取り組みと今後の展開

摘要

ハダ二類は多くの種類の果樹，野菜，花き類等に寄生 し，主に葉を吸汁加害し問題になっている。これまで， 栽培現場では主に殺ダニ剤散布により防除されてきた。 しかし，近年，果菜類や花き類栽培において，栽培者が 使用している殺ダニ剤に対し，感受性が低下した個体群 が出現し，防除を困難にしている。特に，花き類や果菜 類等に発生するナミハダ二黄緑型でその傾向が著しい。 農林水産省でも次世代ゲノム基盤プロジェクト「ゲノム情報等を活用した薬剤抵抗性管理技術の開発（PRM)」 において対策に取り組hでおり，その成果が待たれる。促成栽培ィチゴでも全国的に殺ダニ剤散布によるハダ 二類防除が困難になっており，気門封鎖剤による防除や 力ブリダニ製剤による生物的防除で対応している産地が 増加している。さらに，二酸化炭素による物理的防除の 導入が実用化し，紫外線による防除も研究が進められて おり，殺ダニ剤に頼らない防除体系が拡大している。このような状況で，r薬液の付着向上」という課題が どのような意味を持つのか，筆者が取り組hできたイチ ゴ栽培でのハダ二類防除の事例などで考えてみたい。